コラム
処遇改善加算とは?
目次
処遇改善加算とは?
処遇改善加算は、国が、職員の安定的な処遇改善を目的として、法人の賃金改善、職場環境等の取組みを評価し、毎月の報酬に加算して支給する制度です。
例えば、毎月の売上げ(基本報酬に加算(または減算)を行ったもの))が200万円の放課後等デイサービス事業所が加算Ⅰを取得した場合、毎月16万8000円(加算率8.4%)が基本報酬とは別に国から支給されます。
上記加算を取得するためには、就業規則等を変更し、キャリアパス規定、職場環境等を整備した上で、所轄庁に処遇改善計画書の届出をする必要があります。
もっとも、上記加算を取得後、法人が給付を受けた処遇改善加算金を原資に職員に給与として分配する場合、自由に職員に分配できるわけではありません。
処遇改善加算を原資として職員に支給する場合、利用者(利用児)を直接支援している現場職員(直接支援職員)にしか分配できず、管理者、サービス提供管理責任者や児童発達管理責任者のような管理職には配分できないことになっています。
このため社内で各従業員への配分のルール作りが必要となり、上記計画書にはその内容も記載します。
処遇改善加算の取得は、従前の報酬に加算して支給されるので法人および職員の利益になる反面、加算を取得するにも職員に配分するにも様々なルールを設定しなければならず、そのルール作りをどのようにすべきかについてお悩みの事業者さまが多いです。
処遇改善加算の取得をお考えの事業者様、または、すでに取得していてもどのように給与に反映すべきかについてお困りの場合は是非当事務所にご相談ください。
特定処遇改善加算
令和1年10月から始まった特定処遇改善加算は、通常の処遇改善加算とどう違うのでしょうか?
【対象者】
処遇改善加算は、加算交付金を原資として、直接支援職員のみを賃金改善の対象としますが、特定処遇改善加算は、管理者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、事務員をも含めた全職員を対象とします。
【取組み】
処遇改善加算に比べて、加算率は、下の表のとおりかなり低いにもかかわらず、賃金改善や職場環境の改善においてより多くの取組みが事業所に要求されます。
【配分方法】
職員への支給配分にルールがあり、全職員を①経験・技能のある障害福祉人材、②他の障害福祉人材、③その他の職種に分けた上で、支給配分が①>②>③であることが必要です。
【取組みの見える化】
見える化要件というものが要求され、上記取組み内容を自社ホームページや「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」(WAM NET等)等へ公表する必要があります。
※ 令和3年度および4年度は見える化要件を算定要件としないとされています。
加算対象サービスと加算率
サービス区分 | 処遇改善加算 | 特定処遇改善加算 | ||
---|---|---|---|---|
加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 特定加算Ⅰ | 特定加算Ⅱ | |
居宅介護 | 27.40% | 20.00% | 7.00% | 5.50% |
重度訪問介護 | 20.00% | 14.60% | 7.00% | 5.50% |
同行援護 | 27.40% | 20.00% | 7.00% | 5.50% |
行動援護 | 23.90% | 17.50% | 7.00% | 5.50% |
生活介護 | 4.40% | 3.20% | 1.40% | 1.30% |
就労移行支援 | 6.40% | 4.70% | 1.70% | 1.50% |
短期入所 | 8.60% | 6.30% | 2.10% | 2.10% |
就労継続支援A型 | 5.70% | 4.10% | 1.70% | 1.50% |
就労継続支援B型 | 5.40% | 4.0% | 1.70% | 1.50% |
共同生活援助(指定共同生活援助) | 8.60% | 6.30% | 1.90% | 1.60% |
共同生活援助(日中サービス支援型) | 8.60% | 6.30% | 1.90% | 1.60% |
共同生活援助(外部サービス利用型) | 15.00% | 11.00% | 1.90% | 1.60% |
児童発達支援 | 8.10% | 5.90% | 1.30% | 1.00% |
放課後等デイサービス | 8.40% | 6.10% | 1.30% | 1.00% |
就労定着支援、自立生活援助、計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(移行)および地域相談支援(定着) | 0% | 0% | 0% | 0% |
よくあるご質問(FAQ)
Q 処遇改善加算の支給対象者を詳しく教えてください。
A 児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、生活支援員、ホームヘルパー(サービス提供責任者を含む。)などの福祉・介護職員(直接支援職員)です。法人代表者、管理者、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者などの管理職、直接支援を行わない事務職のみを行う職員、相談支援員等は含まれません。
なお、特定処遇改善加算については、支給対象者は限定されていません。
Q 代表以外の法人役員で、直接支援業務を兼務している場合、支給の対象となりますか?
A その法人役員が、役員報酬のみならず、使用人としての賃金をも受給している場合は、支給の対象となります。また、勤務形態一覧表にその法人役員の方の氏名の記載があることが必要です。
Q 処遇改善加算は、どのように職員に支給されますか?
A 基本給、手当、賞与等で支給されます。ただし、通勤費、出張旅費、慶弔見舞金等に支給することはできません。
基本給で支給する場合は、処遇改善分と本来の給与分の分かれ目が不明確になりやすいため、毎月の手当や賞与で支給されることが多いです。
Q 処遇改善加算交付金を使い切れない場合はどうなりますか?翌年に持ち越すことは可能ですか?
A 毎年、7月までに処遇改善加算の1年間の実績報告書を提出しなければなりません。いい方は悪いですが、その時までに使い切ることが必要です。残った分は返金の対象となります。