障がい福祉サービス事業サポート | 古川行政書士事務所

コラム

事業所を開設したら(その2)

社会保険労務士のコラム

従業員を雇用したら(社会保険の手続き・その2)

放課後等デイサービス事業の事業所でスタッフを採用した際、そのスタッフが社会保険加入の要件に該当する場合は、所定の手続きを行わなければなりません。
ところで、そもそも社会保険とはいったいどういうものなのでしょう?
まずは、社会保険(厳密には「広義の社会保険」といいます)のうち「労災保険」について見ていきたいと思います。

労災保険(労働者災害補償保険)とは、労働者が業務中や通勤中にケガなどを負った場合に、労働者やその遺族に対し必要な保険給付を行う制度です。
労災保険では、労働者を一人でも、また1時間でも雇用すれば、その事業所が法人か個人事業かに関わらず、またその労働者の雇用形態に関わらず(パートでも日雇いでも)、必ず加入しなければなりません。
放課後等デイサービス事業の事業所様においては、正職員、有期雇用の契約職員、パート職員等、様々な雇用形態のスタッフが勤務されているかと思いますが、その全ての方が労災保険の対象ということになります。

事業所様において必要な手続きは次の通りです。
①労働保険保険関係成立届
②労働保険概算保険料申告書

提出期限は、労働保険保険関係成立届については保険関係が成立した日(労働者を雇用した日)から10日以内、労働保険概算保険料申告書については50日以内です(通常は同時に提出します)。
提出先は管轄の労働基準監督署で、郵送も可能です。

なお、上記の届出書の様式は複写式の特殊なものなので、HPからのダウンロードはできません。
最寄りの労働基準監督署に直接取りに行くか、返信用封筒を送付して送ってもらうことになります。

保険料は、事業所の全スタッフに対して当年度中に支払う賃金総額(予定額)に保険料率を乗じて算定した額を概算で納付し、翌年精算します。
概算保険料が40万以上になる場合は分割納付が可能になりますが、40万未満の場合は原則として一括での支払いとなります。
納付期限は労働保険概算保険料申告書の提出期限と同じ、保険関係成立後50日以内です。
概算保険料申告書の下の方が納付書になっており、最寄りの金融機関等に出向いて納付します。

なお、労災保険においては、労働者個々人の資格取得届は必要ありません。
また、労災保険料は全額事業主が負担することになっていますので、労働者の負担分はありません。

放課後等デイサービス事業を運営するにあたり、スタッフが安心して働くことができる環境を整えることは事業所様の大切な義務です。
労災保険、忘れずにしっかりと手続きをするようにしましょう。